原発は、石油が枯渇すると言われたいわゆる「エネルギー危機」の時期に、次代の安価なエネルギーと言われ、国策として建設が進みました。
しかし、「原発は安価」というのは、ではないか?と、少数の識者は訴え続けてきました。その最大の理由は、廃炉費用(寿命がきた原発の解体費用)が小さく見積もられすぎているのではないかと言う疑問です。

そして、この嘘が嘘であることが、現実に証明される事態が迫ってきています。

                                                                                                                              • -

予算不足…世界初の商業原発解体作業進まず
11月9日20時43分配信 産経新聞【ロンドン=木村正人】

9月末から始まった英イングランド北西部セラフィールドにあるコールダーホール原発(6万キロワット)の解体作業が中断していることがわかった。
作業を監督するアンドリュー・スカーギル氏は9日までに、「原発解体には莫大(ばくだい)な費用と期間がかかる」と述べ、予算不足で作業が中断していることを明らかにした。

原発は、1956年に世界初の商業炉として稼働した黒鉛減速炭酸ガス冷却炉。天然ウランをそのまま燃料とできるため、日本初の東海村の原子炉も同型だ。
また、現在、無能力化の作業が進む北朝鮮寧辺の実験炉(5000キロワット)も同原発をモデルに建設されたとされる。

コールダーホール原発は老朽化のため2003年3月に操業を停止。約2年の準備を経て今年9月末、解体作業が始まり冷却塔4基が爆破された。
現在は熱交換器を取り外す作業にかかっていたが、「資金繰りの問題が発生し、計画見直しのため作業を停止している」(同氏)という。

英国内での他の原発も含めた解体費用が、向こう3年間で当初計画を6億7100万ポンド(1594億円)も上回る85億ポンド(2兆200億円)に達する見通しのためだ。

                                                                                                                                    • -

解体作業には膨大な費用がかかりそうです。その理由は、放射能による解体作業員の被爆問題と環境への影響です。
まともに作業員の被爆を考えて作業を進めれば、安全確保に、膨大な費用がかかるでしょう。環境への放射能汚染を抑えながら作業するにも、膨大な費用がかかるでしょう。
上記の記事にもあるように、寿命がきた原発の解体は、資金難に陥ることでしょう。英イングランド北西部セラフィールドにあるコールダーホール原発は、たったの6万キロワットです。日本にある大型原発は、おおむね100万キロワットです。

                                                                                                                                              • -

柏崎で「おやすみ原発」集会

 中越沖地震で被災した東京電力柏崎刈羽原発の運転再開に反対する市民団体の集会「おやすみなさい、柏崎刈羽原発柏崎刈羽から東京のみなさんへ」が24日、柏崎市産業文化会館で開かれた。市民ら約200人が参加する中、主催者が「大きな地震が起きないとする前提が崩れた以上、運転再開はありえない」と訴えた。

 主催したのはプルサーマルを考える柏崎刈羽市民ネットワーク。音楽家坂本龍一さんらが「おやすみなさい、柏崎刈羽原発」のタイトルで展開している運転再開反対の署名活動に賛同し企画。連携して原発立地地域の不安を電力消費地に伝えようと開いた。

 集会では、坂本さんが寄せた「活断層の上に原発が立っている限り、将来的に不安が残る」などとするメッセージを披露。柏崎刈羽原発反対地元3団体の武本和幸さんが、原発敷地内の写真や地盤のデータを示し「敷地内に亀裂が走っており、断層が動いたもの。東電や国が否定している地殻構造運動が起きた」と指摘した。

 最後に主催者が「原発の電気がなくても東京の電気は止まらなかった。少し生活の方法を変えることで、原子力に頼らない社会ができる」などと呼び掛けた。


新潟日報2007年11月24日
http://www.niigata-nippo.co.jp/pref/index.asp?cateNo=1&newsNo=63791

                                                                                                                                                • -

東京電力の長期発電所建設計画は、天然ガス火力発電所が中心です。原発はほとんどありません。なぜでしょうか?原発は、コストがかかる上に、地震などの影響を受けやすく不安定な発電だと言うことが、分かっているからです。天然ガスは世界中に広く大量にある地下資源だからです。現在も、将来的にも、一番安価な発電は、天然ガスの火力発電です。

                                                                                                                        • -

廃炉の費用を誰が負担するのか?もちろん、電気料金に上乗せされていくことでしょう。(このことは確か政府の方針として決定済みだったと思います)。そうなると、世界一高い電力料金が、さらに高くなりそうです。そして、原発のない電力会社の電気料金は安くなると言うことになります。将来的にそうなると予言してみましょう(笑

                                                                                                                      • -

原発は安価と言う嘘は、当初から言われてきたことであるにもかかわらず、原発は、この嘘に乗って増設に増設を重ねてきました。そのツケは、国民が負担するわけです。それにしてもデカイ嘘ですよ。何兆円?????

なぜ、この嘘に、電力会社がのってしまったのか?不思議でなりません。

もともと、組織と言うものは、それほど賢い選択をするものではないのかもしれません。組織が大きくなればなるほど、愚かになるのかもしれません。